
+ O Magazine Jan.2007 +
Thanks to Rico1130 for translation.
ジョシュ・グローバンの『アハ!』の瞬間
一夜にして「普通の子」から「ダサいティーン」のレッテルを貼られていた。
だがその後、居場所を確保する為に自分を変える必要はないことを発見する。
自分を変えずに、自分の世界を変えればいいんだということを。
中学1年から2年になる夏、すべてが変わった。少なくともその頃自分にとって「すべて」だったものが。自分も含めてみんながガキからティーンエイジャーに変わった。
みんながみんなバニラ・アイスを聞いてラップばかり歌いだし、ヨーヨーの技に夢中になっていた。僕はといえば、タレント・ショーにでても流行の歌じゃなく自分の作った歌を歌うような奴で、その時期突然正式に「ダサい奴」のレッテルを貼られるようになった。
ロッカーで囲まれるようなことはなかったけれど、自分が好むものには周りはまったく興味がない、ということだけは明らかだった。女の子たちには無視されたし、友達もほとんどいなかった。
僕の通っていたロスの私立学校は、運動のできる生徒や何かにずば抜けている生徒をちやほやする学校で、僕はそのどちらでもなかった。
毎日毎日終業ベルが鳴るのを心待ちにしながら、バックパックを肩に廊下を歩いていた。
ベルが鳴ったら即効で家に帰って自分の部屋に閉じこもり、ドラムを叩いたりピアノを弾いたり、音楽をつくるタイプだった。
朝が来るとまた学校の机に戻り、化学の公式を解かされていた。息ができないような、孤独な毎日。自分では表現したいことがたくさんあるのに、表現する方法がなかった。
中学2年の終わりに、ある友達からロサンゼルス・カウンティー・アーツ・スクール(LA郡芸術高校)のパンフレットをもらった。入学試験はオーディションで、午前中は学科授業、午後は芸術の選択授業のみ、という学校だった。
ちゃんとしたトレーニングを受けたこともなかったし、自分がどんなところに足を踏み入れようとしているのかもわかっていなかったけれど、とにかくステイタスだけの世界から逃げ出したくてオーディションを受けたら、入学を許可された。
新しい学校での初日、クラスの前で一人芝居をやらされた。席に戻りながら、恥ずかしくて顔が真っ赤になっているのが自分でわかった。「最悪だ・・・」と思っていた。
教室を出るとき、何人かの生徒が近寄ってきた。「きっと前の学校よりひどいんだ。無視されるんじゃなく、からかわれるに違いない・・・」そんな思いがよぎった。「芸術高校でいじめかよ…」という思いだった。
すると、「さっきのパフォーマンス、最高だったぜ。」と一人が言った。
もう一人が「ランチを一緒に食べよう」と誘ってくれた。
僕はゆっくりとうなずいて、廊下を見渡した。僕の後ろでは、二人の生徒がある劇からのセリフのやり取りをやっていて、その向こうでは誰かがオペラを歌っていた。
世界でたった一つ、ひょっとしたら自分がクールに見えるチャンスのある高校を見つけたような気がした。
新しい友達とカフェテリアに向かいながら、息が楽になっていることに気がついた。
自分の好きなことをやって自分でここに辿り着いた、という気持ちに包まれていた。
たとえそれが周りと違っていて、わかってもらえない孤独感を伴うものであっても。
前の学校で、みんなに受け入れられるように努力する事だって可能だった。野球チームに入ってもよかったし、毛糸のベストを着るのだってやめられただろう。
それでもなぜだか、「みんなと同じ」にはなれなかった。きっとそうしていれば楽だったに違いない。でもここにきて報われた、そんな気持ちだった。
その後も、妥協しろというプレッシャーには何度も出会ってきた。
自分の心が迷ったり落ち込んでいるとき、僕はあの中学校での出来事を思い出して自分に何度も言い聞かす。
「これも、いつかきっと過去になる。」
人生は与えられた長い旅のようなもので、その痛みや混乱は一時的なものだ、とわかっているから。自分の心に正直でさえいれば、心が自分の居場所となるものに導いてくれると、僕は信じているから。
